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5月30日ブラキシズム最前線

 5月30日は国立東京医科歯科大学同窓会・学術部主催の学術講演会に参加しました。

テーマは「ブラキシズム(歯ぎしり・くいしばり)」で、講師は昭和大学歯学部補綴科の馬場教授と大阪大学の加藤講師の2名で、馬場先生が臨床、加藤先生が基礎の生理の立場から講演が行われました。

この古くて新しいテーマである歯ぎしりの問題は、今まで余り歯科の表舞台に出ることはありませんでした。

その理由としては、今も昔もブラキシズムによる力のレベルを同定するのが困難だったのと、患者さん自身が、その存在に気づいていないことが、極めて多いというのが、大きな要因であるかもしれません。

しかし、近年の長寿社会の到来に伴い、人間の寿命が延びることで、歯を保存するという観点から、避けて通れなくなっている問題でもあります。

2010.5.30Brx

歯周病がある程度進行したり、奥歯が何らかの理由で無くなったりすることで、若い頃には、問題にならなかった、咀嚼の際の力や、日中無意識に行っている上下の歯の接触、夜間就寝時の歯ぎしりが、歯の周りの骨や、歯の根そのものに外傷力として働き、歯の周りの骨の吸収を促進したり、歯の根が割れたりするという症状が現れてきます。

しかも大多数の患者さんは、末期的な状態になってからの来院ですので、自ずと臨床的には、歯を救うということには、限界が生じることが多くなります。

しかも、現在の歯科の保険診療では、組織再生の技術も25年前の手法がやっと臨床に入ってきた段階で、患者さんは、保険で最新の治療が受療できると考えがちですが、実は、国の政策で、およそ30年位前のままの状態というのが、悲しいかな保険の診療レベルの実態と言えるでしょう。

その点、このような治療に保険そのものの適用がない韓国や中国の方が、都市部においては、歯周治療の再生療法に関しては、遥かに、日本の保険診療の上を行っているというのが実態です。

軽度から中程度の歯周病に関しては、日本の保険診療でも、ある程度の質を確保することができます。しかし、重度な歯周病になり、骨や歯茎を元に戻したいと考えるならば、やはりサイトカインなどを用いた組織再生をおこなわざるをえません。

本題に戻りましょう。基本的にブラキシズムは、力のコントロールを主体に考えるべきであり、就寝時の歯ぎしりを抑制するには、睡眠の質の改善が必要であり、日中の上下の歯牙接触のコントロールは、やはり、認知行動療法を主体に行わざるを得ないというのが、本日の結論でありました。

今年2月の勉強会で、岡山大学の皆木先生が、顎関節症に関して、大阪で講演されましたが、この歯ぎしりという問題は、虫歯や歯周病のバックグランドとして常に捕らえるべき疾患であり、顎関節症の初期症状として、虫歯や歯周疾患様の症状が出るのを見逃すべきではないというのは、常に念頭において診療すべきであります。

もちろん、歯列の不正咬合の発現にも、歯ぎしりは、大きく関わっていると考えるべきでしょう。

at 22:13, スマイルクリエーター, 歯ぎしり(ブラキシズム)

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